中小企業省力化投資補助金とは?
制度概略・対象・手続きの
完全ガイド

1. はじめに

中小企業にとって、人手不足や生産性向上は避けて通れない課題です。近年、国内製造業では熟練工の高齢化や若手人材の確保難が顕著になっており、省力化や自動化への投資は経営の持続性を左右する重要テーマとなっています。

こうした背景のもと、国が推進しているのが「中小企業省力化投資補助金」です。本制度は、省力化機械やIoT、AIを導入する企業を支援する仕組みであり、ものづくり補助金と並んで注目されています。

本記事では、制度の概要から対象、手続き、ものづくり補助金との比較、さらには申請書類作成のポイントまで、管理職層が押さえておくべき内容を網羅的に解説します。

また、実際に申請から採択までにかかる時間や、制度を活用した 成功事例・失敗事例、よくある質問(FAQ)も後半で取り上げます。ご自身の状況に応じて活用できるよう、具体的な情報を含めていますので最後までご覧ください。

2. 制度の概要

中小企業省力化投資補助金は、中小企業が生産性向上や省人化を目的に設備投資を行う際、その費用の一部を国が支援する制度です。
(参考:中小企業基盤整備機構

  • 目的:人手不足解消、生産効率向上、デジタル化促進
  • 対象事業者:中小企業基本法に基づく中小企業
  • 補助率:通常は1/2以内(条件により変動あり)
  • 補助上限額:〜1億円

特に製造業では、自動化ロボット、AI検査装置、IoTセンサーを用いた生産管理システムなどが対象となり、現場改善の強力な後押しとなります。

補助率・上限は、一般型・カタログ型によって差があり、また加点要件によって補助率が引き上げられる場合があります。

公募スケジュールは年3〜4回計画されており、第1回公募は2025年3月19日〜3月31日、第2回公募は4月25日〜5月30日でした。準備に要する期間(GビズID取得・見積取得など)を考えると、公募開始前から動き始めることが望ましいです。
(参考:一般型のスケジュール

また申請に伴う書類も回毎に変更があります。常に最新の情報で申請に挑む必要があります。

3. 制度の根拠と裏付け

本制度は、経済産業省の政策の一環として設計されています。

  • 法律との関係:中小企業等経営強化法に基づく支援策として位置づけられており、単なる一時的な助成ではなく政策的裏付けがあります。
  • 予算措置:国の年度予算に計上され、景気対策や産業競争力強化のために毎年一定規模が確保されています。
  • 政策的狙い:労働人口減少を背景に、省力化投資を促進することで国内製造業の生産性を底上げする狙いです。

4. ものづくり補助金との比較

補助金の代表格である「ものづくり補助金」と比較すると、次の違いがあります。

  • 目的:ものづくり補助金は新製品・新技術の開発を支援、省力化投資補助金は生産工程の省力化・自動化を支援
  • 補助対象:ものづくり補助金は試作品開発、工程改善、新サービス開発、省力化投資補助金はロボット導入、IoT機器、省力化装置
  • 企業にとっての意味:新規事業を目指すならものづくり補助金、既存業務を効率化するなら省力化投資補助金

両者は補完関係にあり、自社の課題に応じて使い分けることが重要です。

比較項目ものづくり補助金中小企業省力化投資補助金
補助率・補助上限~2/3・上限数千万円(要件により大きく異なる)通常1/2・上限1億円(条件や加点要件による)
書類の難易度新技術・企画力重視で専門性が求められる一般型は実務的改善重視。自由度が高く差別化が必要
審査の焦点技術革新・市場性・知財など効果の定量性・省力化・現場改善のインパクト

このような比較を踏まえ、「どちらを選ぶか」の判断基準を自社の課題と照らし合わせて明確にしておくことが重要です。

5. 省力化投資補助金:一般型とカタログ型の比較

中小企業省力化投資補助金には「一般型」と「カタログ型」の2種類があります。

  • 一般型:自社の課題に応じて設備を自由に選定可能。技術的工夫を盛り込むことで高い評価が得られる。書類作成の難易度は高め。
  • カタログ型:国が指定したカタログから設備を選ぶ方式。書類作成は比較的簡単。選択肢が限られ独自性を出しにくい。

元々は中小企業省力化投資補助金はカタログ型だけでした。しかし、特に製造業では自社の製造工程の作り込みが進んでおり、汎用品の導入では省人効果が出せないという声がありました。そこで、「一般型」が誕生しました。

なお「一般型」は遡ること令和5年第17次ものづくり補助金(オーダーメイド枠)が発端で、中小企業省力化投資補助金に組み込まれることになりました。

弊社では中小企業省力化投資補助金のうち、一般型を専門に支援しています。現場の実情に合った設備導入を検討する企業には、一般型の方が圧倒的に自由度が高く、真の効果が得られるからです。

6. 申請要件

省力化投資補助金を申請するには、いくつかの要件があります。

  • 事業者要件:中小企業基本法に基づく資本金・従業員数の基準内であること
  • 設備投資要件:省力化・自動化に資するものであること
  • 事業計画要件:3〜5年の事業計画を策定すること
  • 加点要件:賃上げ計画や地域貢献などを組み込むと採択率が上がる

特に加点要件は採択に大きく影響するため、制度をよく理解して計画に反映することが重要です。

7. 補助対象経費

補助の対象となる代表的な経費は以下のとおりです。

  • ロボットシステム、IoTセンサー、AIを用いた検査装置、自動搬送装置(AGVなど)、生産管理のデジタル化システム
  • 対象外経費には、汎用PC、既存設備の修理費用、建屋の建設費などがあります。

ものづくり補助金と比べると、研究開発色の強い投資は対象外になりやすい点が特徴です。

なお、装置購入のみならず、据え付け費・設置工事費・電気配線・ソフトウェア導入費などの付帯経費も対象となる場合があります。見積書を取得する際にこれらを含めることを忘れないようにしてください。

一方で、消耗品・備品・光熱費・ゼロからの建屋新築などは原則として対象外となることが多いため、見積構成を慎重にする必要があります。

8. 書類作成の難しさと評価ポイント

補助金申請で最大のハードルとなるのが書類作成です。

  • 必要書類:事業計画書、収支計画、見積書、申請様式など多数
  • つまずきやすい点:現場に合った改善効果を数値で示す必要がある
  • 不採択の原因:形式的に書類を揃えても、加点・評価ポイントが乏しいと採択されない

書類のうち、事業計画書の記載内容で補助金の採択が決まります。審査・評価者には製造業の専門家(技術士)も含まれており、稚拙な記載や単なる自動化設備の説明だけでは、採択を受けることができません

  • 書類作成では、対象工程がボトルネックである理由、実施する自動化が妥当である説明などの記載が必要です。これには、可視化・図表の活用を取り入れることが有効です。導入後の改善前後の工程フロー図、稼働率・生産性の比較グラフなどを入れると説得力が増します。

  • 見積書は複数業者から取ることで比較資料とする。コストの妥当性を示すことで審査評価が上がるケースがあります。

  • 収支計画では「投資回収期間(ROI)」を示すとよく、初年度・中期・長期でのコスト削減効果を数値で見せることが望ましい。

特に自社の課題と設備導入効果を具体的に結びつける部分は、経験がないと難しく、専門家の助言が有効です。

9. 申請から採択までの流れ

申請から補助金受給までのプロセスは以下の通りです。

  1. 公募要領の確認
  2. 事業計画の策定
  3. 電子申請システムを通じて申請
  4. 4. 審査・採択発表
  5. 交付申請
  6. 設備導入・実績報告
  7. 補助金受給

全体で半年〜1年かかる長丁場です。早めの準備が不可欠です。以下に申請から採択までのスケジュール感を掲載します。公募を見越した早めのアクションが肝要です。

  • 申請前準備として、「公募要領を熟読する」「必要な見積取得・現場計測」「GビズIDプライムの取得・電子申請システムの操作確認」などを早めに進めておくこと。見積や図面など準備に数週間かかることも。
  • 採択後は交付決定通知を受け取ってから設備発注・購入を行うこと。無断で前倒しすると補助対象外になる可能性あり。
  • 実績報告時には、導入前後での効果を定量的に測定し証明できるデータ(稼働時間・人員削減・生産量向上等)を保管しておくことが審査上の強みになる。

10. 申請資料の一覧

応募時、交付時などフェーズごとに数多くの書類が必要となります。以下に事例を示します。
第3回公募:中小企業省力化投資補助金(一般型) 提出書類一覧(応募→交付→実績)
※出典:公募要領・応募手引き

 
No. 段階 書類名(様式) 概要 元情報・作成根拠 評価ポイント
1 応募申請 役員名簿(指定様式) 会社の役員構成を明示する名簿 公募の指定様式(公式ダウンロード) 記載漏れ防止、整合性(他書類と一致)
2 応募申請 株主・出資者名簿(指定様式) 出資構成・支配関係を示す名簿 公式様式(ダウンロード) 間接出資・関連会社の記載、透明性
3 応募申請 履歴事項全部証明書 登記上の法人情報(代表者、資本金 等) 法務局発行の登記事項証明(最新) 発行日(3か月以内等)の確認、氏名・住所の整合性
4 応募申請 納税証明書(その2)直近分 納税状況・滞納有無の証明(法人・個人それぞれ) 税務署発行の納税証明書(所定様式) 直近数期分の提出(要件に従う)、滞納の有無確認
5 応募申請 貸借対照表・損益計算書(直近2期) 決算書類で財務状況を確認するための主要帳票 決算書(法人税申告添付書類等) 自己資本比率や利益状況、変動の説明を明記
6 応募申請(条件該当時) 最低賃金引上げに係る要件確認書(指定様式) 賃上げ要件で補助率引上げ等の特例を受ける際の確認 指定様式(公募要領) 賃金データの根拠(賃金台帳等)との整合性
7 応募申請 事業計画書(指定様式) 補助事業の目的・投資内容・効果(定量・定性)・実施体制 公募要領の指定様式・記載例 効果の裏付け(数値根拠)、実行可能性、リスク管理
8 応募申請 省力化効果判定シート(指定様式) 導入機器・システムによる省力化効果(工数削減等)を定量的に算出 公式ダウンロード/指定シート 計算根拠の明確性、前後比較、過大見積もりの回避
9 交付申請 見積書(複数)・見積依頼書 費用見積の根拠、相見積の実施状況を示す 業者発行の見積書、依頼履歴 特にシステム構築は明細化した積算根拠が重要
10 交付申請 契約書・発注書の写し 発注先との合意内容を証明する書類 実際交わした契約書・発注書 契約仕様と見積・計画の整合性(瑕疵条項等)
11 実績報告 補助事業実績報告書(様式) 導入後の実績(効果・コスト・スケジュール等)を総括 実績報告手引き・指定様式 計画との差異説明、達成率・根拠の提示
12 実績報告 請求書・領収書・支払証拠 支払実績を示す会計証憑 会計帳簿・銀行振込記録等 金額・日付・支払先の一致、証憑の真正性
13 実績報告 機器設置写真・稼働写真 導入機器の実設置・稼働を示す写真資料 自社撮影の写真(可能なら日時記録) 写真に日時・場所が分かる工夫、機器の識別性
14 実績報告 稼働ログ・稼働実績データ システムログ等の稼働実績(稼働率・稼働時間) 制御システムログ、CSV等の出力データ ログ出力の信頼性、改ざん防止への配慮
15 実績報告 効果検証レポート 導入効果を定量・定性で分析した報告書 自社作成の報告書、外部分析含む 測定方法・根拠の明示、回収期間試算の妥当性
注:掲載の書類名・必要性は公募回・事業区分(一般型・カタログ型等)・事業者の条件により異なります。正式な様式・最新の提出要件は必ず公式の「応募手引き」および指定様式ページで確認してください。出典:公募要領・応募手引き(第3回公募)。

11. 専門家を活用するメリット

  • 技術的な視点から事業計画を強化できる
  • 採択率を高めるための「評価される書き方」を押さえられる
  • 書類作成の負担を軽減できる
  • 補助事業完了まで継続的にサポートを受けられる

特に一般型の申請は自由度が高い分、審査基準を意識した論理的な記載が不可欠です。

  • 専門家(コンサルタント・技術士)を使うと、過去案件で採択率が20〜30%高まったという例があると報告されています。
    (参考:データポータル
  • 専門家を依頼する際の費用相場は、着手金+成果報酬型が一般的で、規模によって数十万円〜数百万円になることも。見積を複数取るのがよいでしょう。
  • また、申請だけでなく実績報告・検証支援まで含めてサポートしてくれる専門家を選ぶことで、補助金受給後のフォローも安心です。
  • 書類作成時間別の採択率データによると、最も採択率が高かったのは120時間であった。

12. まとめ

中小企業省力化投資補助金は、現場の人手不足や効率化課題を解決する強力な制度です。

  • ものづくり補助金との違いを理解する
  • 一般型とカタログ型の比較を踏まえて、自社に適した方式を選ぶ
  • 申請要件や加点要素を押さえる書類作成には専門的知識が不可欠である

経営層には、単なる補助金獲得にとどまらず、導入設備が中長期的に成果を生むかを見極めることが重要です。専門家の支援を得ながら、採択と成果の両立を目指すことを強くお勧めします。

13. FAQ

Q1. 赤字企業でも申請できますか?
A. はい、赤字でも申請可能な場合があります。ただし、申請要件の中で「継続可能な収支計画」が求められるため、赤字であっても将来改善の見込みがあること、投資回収計画が明確であることが重要です。

Q2. 個人事業主は対象になりますか?
A. 基本的には「中小企業基本法」に基づく法人が中心ですが、個人事業主も条件を満たせば対象となる場合があります。税務上・業種上の基準を確認してください。

Q3. 中古機械やリース契約でも補助対象となりますか?
A. 中古機械は原則として対象外となることが多いですが、特定の要件を満たすものについて例外的に認められることもあります。リースについては、所有権・契約形態などにより判断が分かれますので、事前に公募要領を確認するか、専門家に相談を。

Q4. 採択されたらすぐに設備を購入・導入してもよいですか?
A. 採択決定前に発注や購入を開始すると補助金対象外になる可能性があります。交付決定通知を受けてから設備発注・導入を行うようにしてください。

Q6. 採択後、補助金が振り込まれるまでどのくらい時間がかかりますか?
A. 一般的には申請開始から採択 → 実績報告 → 補助金受給という流れで 半年~1年 は見ておいた方が安全です。申請準備や見積取得、審査プロセスに時間がかかるため、スケジュールに余裕を持つことが重要です。

Q5. 採択後、補助金が振り込まれるまでどのくらい時間がかかりますか?
A. 一般的には申請開始から採択 → 実績報告 → 補助金受給という流れで 半年~1年 は見ておいた方が安全です。申請準備や見積取得、審査プロセスに時間がかかるため、スケジュールに余裕を持つことが重要です。

One Team 技術士事務所は、中小企業省力化投資補助金を専門に申請支援事業を行っております。

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